創業は昭和44年。先代である父の上野松雄が始めた石屋です。父はもともと熊本県天草市の出身なのですが、集団就職というかたちで出てきまして、岡崎市の石屋さんで石工になるための修業をしたんです。そして10年ほど下積みを重ねた後、独立して今の会社を創業しました。
私自身は、実をいうと石屋さんを継ぐつもりはなかったんです。それで高校卒業後は名古屋にある運送会社に就職して、営業や経理などといった事務系の仕事に就いていました。しかし就職して1年ほど経った頃に、父が突然の病で他界。それが平成元年のことでした。
そうした経緯もあって、最初はどうしようか迷いました。ただ、工場には設備もそろっていましたし、機械は使わないと、どんどん傷んでしまいます。そこで、最初は親戚の石材店で修業させていただくことになったんです。修業期間は3年間。親戚だからといって甘やかされず、逆にとても厳しい親方のもとで、とことん鍛えられました。今思い返せば、あの濃密な期間が石屋としての自分の基礎をつくってくれたんだと思っています。